郵便物が捨てられたり放置されたりした事案の一部を日本郵便が公表していない問題で、総務省が4年前に指針を作り、不祥事の速やかな公表を同社に求めていることがわかった。しかし、同社は2021~24年に少なくとも約30件、計約4千通(個)分の事案を非公表にしていた。
日本郵便は12日、取材に「『(指針の)不祥事』を犯罪と認定した事案と定義し、それ以外を非公表としてきた」とし、今後、公表基準の見直しを検討することを明らかにした。
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総務省は日本郵便を所管する。総務省によると、同社に対する現行の監督指針は21年7月に策定し、同社に通知した。19年にかんぽ生命の不正販売といった不祥事が相次いだことなどを受け、まとめたという。
指針は、コンプライアンス(法令や社会規範の順守)の徹底を促し、問題があった場合に行政処分や命令を行う際の基準や考え方などを示したもの。「業務に関わる不祥事が生じた場合は、警察に相談中または捜査中の事案を除き、速やかに公表が行われることを確保する」と記している。
総務省によると、「不祥事」は、郵便物を捨てたり、放置したりするほか、遅延させたり、重大な過失で紛失したりしたときなど、郵便法で罰則規定があるものを含む。日本郵便は取材に、郵便法違反の疑いがあっても一部を公表していないことを明らかにしていた。
村上誠一郎総務相は12日の閣議後会見で、「指針に沿って適切な対応を求めて参りたい」と述べた。総務省は今後、非公表とされた事案についての事実確認を進めるという。
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